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英文修正 人生の後半を生きる

心の若さを保とうと考えるのなら、ここでもう一つ大事なことがありますな。それは何かといえば、たえず生きる上での希望というか目標をもつことと、あるいは何らかの自分に課せられた任務とでもいうか、つまり使命感ですな、それを知るということが非常に大事になってくると思うのですね。もし、そういうものが多少なりともつかめると、ぼくはそれだけでも非常に心が若返ってくると思うのです。
たとえば、それは何でもよいのですが、自分である目標をきめて、何とかそれをやりぬこうということになれば、自然に力が入り、おのずと元気も出てくるというものですよ。おそらくその過程には、さまざまな刺激というか、喜びや悲しみもあるでしょうし、また非常な困難に直面することもあるでしょう。ぼくはそうしたことが、生きるうえで非常に大事になってくると思うのですね。それだけでも十分心の若さは保てるでしょうし、おのずと肉体も活動的になってくるのではないでしょうか。

出典:「提談・新しい日本のために 心の若さを保つには」『PHP』(昭和53年4月号)

 

年相応に見える人、年齢のわりに若々しく見える人、逆に何となく老けて見える人。まさしく人は十人十色です。こうした違いは、しばしば日頃の食事、運動といった生活習慣や、化粧の仕方、ファッションなどが要因と考えられています。しかし松下幸之助は、それは基本的に天性の素質ではないかと次のように述べています。
「ぼくはその場合、やはり各人それぞれの生まれついた素質というか、いわば天性のようなものが一つ考えられると思いますね。たとえば、生まれついて背の高い人もあれば低い人もある、それと同じようなことが心身の若さというような場合にも、あてはまるように思うのです。あたりまえといえばその通りでしょうが、生まれつきそういうものをもっているような人は、放っておいても、どこかしら若々しく見えるものですよ。ですから、心の若さを保つということにしても、別にそう何もせずとも、生まれつき若々しい心をもっているような人もおるし、そうでない人もいる。人間にはそういうところがあるということも知らんといかんでしょうね」
とはいえ、すべてが素質だけで決まるものでもないと松下幸之助は続けています。たとえば天性の性格でも、心がけによってある程度変えることができる。それと同様に、努力次第で心身も今より若々しくすることができる。少なくとも、現状の若さを保つことはできるのではないかというのです。
そしてそこで大切になるのが、ここでいう使命感、目標をもつということ。使命感をもって目標をたて、その実現のために取り組むとなれば、少なからず困難を伴います。苦労があれば悩みもするでしょう。たえず緊張にもさらされるに違いありません。難儀といえば難儀なことですが、実はそれが心のはりとなり、やりがいや働きがい、ひいては生きがいを生みます。心身が若々しくなるのも自然なことだといえましょう。
もっとも、そういわれてもそうした使命感や目標はなかなかもてないという人がいるかもしれません。松下幸之助は、そういう人であっても、心してみれば必ず何か見つかるといいます。たしかに仕事では見出せなくても、広く趣味や遊び、セミナーや通信教育といった学び、資格の取得なども対象にすれば、いろいろ考えられるのではないでしょうか。
たえず使命感、目標を見出し、いつまでも生き生きと若々しくありたいものです。

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