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英文修正 人生の後半を生きる

 ときに、「夫婦にとって大事なことは何でしょうか」とたずねられることがあります。ぼくは、それに答えるにふさわしい人間かどうかわかりませんが、しかしぼくなりに、これだけは大事だと思うようなことがあるのですね。
 それは、奥さんというのは、しかるべくご主人をほめるというか、その長所をよく認め、素直にそれを伝えていく、またご主人のほうもある程度奥さんをほめていくということです。ほめるということはいたわりであり、お互い人間同士をしっかり結びつける一つの大切な絆ではないかと思うのですね。 ぼくは、これまでにたくさんのご夫婦を見てきましたが、あまりうまくいっていないご夫婦はどうもあまりほめあっていないように思える。その反対に、うまくいっているご夫婦は、たくまず自然のうちに、お互いがほめあっている。
人間というものは他人からほめられるのもうれしいものですが、自分の奥さんなり、ご主人からそういうことを言われると、ひとしおうれしいものですね。

出典:『人生談義』

 往々にして人は、他人の短所にはよく目がいくのに、長所についてはあまり気がつきません。そのため、感心したりほめたりするより、文句を言ったり注意することのほうが多くなりがちです。
しかし、文句を言われるのも注意されるのも、面白いことではありません。たとえそれが好意から出たものであっても、ときに腹を立ててしまうのが人情の一面です。やはり、文句を言われ注意されるより、ほめられるほうがいい。お互いの人間関係を良好に保つためにも、まずほめあうことが大切だといえるでしょう。
何より人は、ほめられるとうれしく思うだけでなく、不思議とやる気が湧き、ものの見方や考え方も前向きになってきます。松下幸之助も「人間だれでもほめられればうれしい。自分の働きが人にみとめられないほど淋しいことはないと思う。ほめられればうれしくもあり、自信もつく。今度はもっと成果をあげてやろうという意欲も起こって、成長への励みともなる」と述べていますが、ほめることにはたいへんな力があるわけです。
もっとも、そうしたほめる意義については、誰しもよくわかっていることでしょう。ところが、実際にはなかなかほめることができないでいる。恐らくそれは、日頃からあまり人をほめたりしないため、どうほめていいかわからないということが一つの理由でしょう。また、これからほめるようにしようと頑張ってみても、何となくぎこちなく、どこか不自然な感じもして、結局、断念してしまうということもあるかもしれません。それでは、いつまでたってもうまくほめられるようにはなれませんし、良好な人間関係も築けないに違いありません。
夫婦ともなると、近しい間柄だけに、なおのことほめることが疎かになりがちです。ほんとうは一番大切にしなければならない人間関係、絆をしっかり結んでおかなければならないのに、他人よりもなおざりにしやすい。だからこそ、より意識してお互いにほめあうことが求められるのです。最初は照れくさかったり、あまり上手にできないかもしれません。しかし、あきらめず日頃の感謝の気持ちも込めてほめるように心掛ける。そのうち自然にほめあえるようになるはずです。
深い絆で結ばれた、仲のいい夫婦。とてもすばらしいことです。そうなるためには、積極的にほめあう。〝ほめることはいたわること、絆を結ぶこと〟……、この松下幸之助の言葉を忘れないようにしたいものです。

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