LINEで送る

IMG_0164

仕事が面白い「ふり」をすると、

それだけで仕事が本当に面白くなるから妙だ。

疲れをあまり感じなくなるし、

緊張も解け、心配も和らぐ。

 

(『カーネギー名言集』)

 

“仕事が面白くて仕方がない”という人に、私は滅多に出会いません。たとえば「あなたは仕事が面白いですか」と尋ねられたら、私は「時々面白いとは感じますが、ほとんどはそうでもありませんね」と答えると思います。面白くて仕方がないという境地にはまだまだ至っていません。皆さんはいかがでしょう。

労働には少なからず難儀なことやつらさが伴います。どうして自分がこんなに苦しまなければならないのか。もしかしたらこれは何かの罰なのではないかと思う人もいるでしょう。そうした人は、早くお金を稼いで労働から解放され、悠々自適のリタイア生活を送ることが人生の理想になるに違いありません。

一方で、労働は自分を磨くための試練であり尊いものと考える人もいます。そうであれば、勤労は美徳となり、生涯現役が好ましい生き方という人生観を持つことになるでしょう。

これら以外にもさまざまな労働観があるはずです。しかし働くことがとてもたいへんで、難儀なのはどんな見方であろうと等しいでしょう。つらいと思うこともあります。苦しいこともあります。あれこれ思い悩み、すべてを投げ出したくなるときも決して少なくはないはずです。仕事が面白いと断言できるのは、たいへん限られた人だけではないかという気がします。

とはいえ、ただ面白くない、つまらない、つらいと愚痴をこぼしていても何も変わりません。

そもそも面白くないと思っていては、意欲が湧いてきません。集中力も思考力も高まらず、よい知恵などとてもうかばないでしょう。自ずと成果も上がらず、そのためさらに面白くなくなり嫌にさえなってきます。毎日、嫌々仕事をする。生活のためだから仕方がないと割り切ろうとする。しかしそれだけでは毎日が耐えられなくなる。そこで心を閉ざして何も考えない、感じないようにする。昔は一日一日食いつなぐために必死で働いていました。そのため、仕事が面白くないなんて言っている暇などありません。でもあれこれと考える余裕がある今日、思い悩んだあげくに心を病んでしまう人も少なくありません。

しかし事はお互いの幸せにかかわっています。何とか仕事を面白くできるようにして、有意義な時間を過ごすようにできないものでしょうか。そこでデール・カーネギーは冒頭のように述べるわけです。

たしかに面白くないかもしれない、つまらないかもしれない。それでも「ふり」でいいから面白がってみよう。そうすると不思議なことに、「ふり」が「本物」になってくる。仕事が面白くなってくる。面白いからつらくはなくなるし、心も和らいでくるというのです。

こうした見方と同様に、アメリカの哲学者であるウィリアム・ジェームズも「楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ」と言っています。このことは、脳科学者からも支持されているようで、顔の筋肉を緩ませ笑顔をつくると、自然と脳もリラックスし笑っている状態になるそうです。

「自分は仕事が好きであるかどうか、ということを絶えず自問自答しつつ、仕事が好きになるように努めていきたい。『よく考えてみると、自分はこれまで苦労だ、苦労だと思っていたけれども、仕事というものはきわめて面白いものだ。自分の仕事の進め方一つで、周囲の人々の働きがいを高め、その長所を引き出していくことができるようにもなる。だから、興味津々として尽きないものがある』といったことが言えるようになりたい」とは、松下幸之助の言葉です。みずから仕事を好きになるように仕向けることが大事だと訴えています。

こうした様々な人の教えに素直に耳を傾ければ、仕事を面白くすることは決して無理ではないように思えてきます。自分の受け止め方、感じ方、取り組み方次第で何とかなる余地はいくらでもあるのではないでしょうか。たとえば、多少強引であっても仕事の面白いところ、好きなところをノートに列挙してみる。その上でそれを意識して取り組んでみる。心の風向きが変わらないとも限りません。

私自身、もう少し仕事を面白がることができるよう、好きになることができるよう、見方、考え方に工夫を凝らしてみたいと思います。

経営理念研究本部 主席研究員 大江 弘

LINEで送る